そう考えている人も多いはず。
とても良いですね。
退職祝いをすることは賛成ですが、両親の退職のタイミングに合わせてやっておくべきことがもう一つあります。
「両親を扶養家族に入れること」です。
この記事の目次
扶養家族とは何か
ざっと扶養家族について説明していきます。
意味
「扶養」とは独立して生計を営めない者を援助することです。
扶養家族は生活を援助する家族のことを指します。
誰が扶養家族に該当する?
日本年金機構に下記のように説明されています。
被保険者と同居している必要がない者
- 配偶者
- 子、孫および兄弟姉妹
- 父母、祖父母などの直系尊属
被保険者と同居していることが必要な者
- 上記1.以外の3親等内の親族(伯叔父母、甥姪とその配偶者など)
- 内縁関係の配偶者の父母および子(当該配偶者の死後、引き続き同居する場合を含む)
注目は、父・母、祖父母も該当するということです。
扶養家族にするメリットは?
扶養家族に入れるメリットは下記の2つです。
- 健康保険料の支払いがなくなる(扶養される側)
- 税金が安くなる(扶養する側)
健康保険料の支払いがなくなる(扶養される側)
扶養家族に入れる、一番大きなメリットは「扶養される側の健康保険料の支払いがなくなる」ことです。
そうなんです。両親を扶養家族に入れると、両親の健康保険料が安くなるんです。
退職した直後の健康保険料は、働いていたときの収入を元に計算されるので、給料を多くもらっていた人が、いきなり国民健康保険に切り替えると、結構な健康保険料を支払うことになります。
退職後の健康保険の選択肢
退職した後の健康保険の選択肢は下記の3つです。
- 国民健康保険に加入する
- 退職した会社の健康保険を任意継続する
- 被扶養者になる(扶養家族に入る)
このなかで③の扶養家族に入るのが、金銭的な負担が一番軽くなります。
税金が安くなる(扶養する側)
扶養家族に入れると、「所得税」と「住民税」で扶養控除が適応でき、扶養に入れた人の税金が安くなります。
計算は複雑なので【所得税と住民税が安くなる】と理解してください。
所得税の控除額
控除額は扶養する人の「年齢」と「同居かどうか」によって変わります。
70歳未満 | 38万円 |
---|---|
70歳以上(同居以外) | 48万円 |
70歳以上(同居) | 58万円 |
※実際はもう少し複雑です。詳しくは「国税庁:扶養控除」をみてください。
所得税率が10%帯の人は、親一人あたり年間3.8〜5.8万円の税金が安くなります。
所得税率は「国税庁:所得税の税率」のページで分かります。
住民税の控除額
所得税だけでなく、住民税も控除されます。
住民税の計算は複雑で難しいので「住民税の自動計算サイト」を使いましょう。扶養控除の有無で住民税が計算できます。
扶養家族に入れる条件・申請方法
日本年金機構の下記のように条件が記載されています。
年間収入130万円未満(60歳以上又は障害者の場合は、年間収入※180万円未満)かつ
- 同居の場合 収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満(*)
- 別居の場合 収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満
※ 年間収入とは、過去における収入のことではなく、被扶養者に該当する時点及び認定された日以降の年間の見込み収入額のことをいいます。
より詳しく確認するには「従業員が家族を扶養にするときの手続き」をご覧ください。
注意は高額療養費制度
親を扶養家族にいれるにあたり、注意しておきたいのは高額療養費制度です。
高額療養費制度は「医療機関や薬局の窓口で支払った額が、ひと月で上限額を超えた場合に、超えた金額を支給する制度」です。
被保険者(親を扶養する側)の収入によって金額が決まるため、被保険者が高収入の場合、医療費の負担額が増えます。
※医療費の自己負担の限度額は「協会けんぽ:自己負担限度額とは」で確認できます。
下記2つに該当する人は負担が大きくなる可能性があるので注意しましょう。
- 病院代が高い方
- 扶養する側が高収入の場合
上記に該当する場合、「医療費の負担増額」「健康保険料の負担減額」「税金の負担減額」の3つを比べることで、扶養家族に入れるかどうかが判断できます。
扶養家族を申請する方法
親を扶養家族に入れるための申請には、書類を提出する必要があります。
提出書類は「従業員が家族を扶養にするときの手続き」をご確認ください。
書類の作成はさほど難しくありません。
提出先は「勤務先の会社」となるため、事前に管理部などに確認しておくとスムーズに進むと思います。
扶養家族のデメリットはない
扶養家族のデメリットはないです。高額療養費制度だけ押さえておけば他にはありません。
デメリットがあるとすれば「稼ぎすぎると扶養から外れるから働けなくなる」という矛盾が生まれることです。
両親が定年後に何をする予定かは知っておくとよいですね。
まとめ:退職祝いよりメリットが大きい
親を扶養家族に入れることはメリットがとても多いです。
退職祝いを渡すタイミングで、扶養家族に入れることを提案してみましょう。
親も扶養家族について知らない可能性もあるし、知っていても切り出せないかもしれません。
僕も両親を扶養家族に入れましたが、退職して半年程経ってからだったので、もう少し早く気付けば良かったと思っています。
親との関係性が良好だと生活する面でもいいことが沢山ありますよ。(参考:住宅ローンの代わりに家庭内融資)
というわけで今回は以上です。